BBBの定番30選
1991年のオープン当初から、長きにわたり販売している商品。そして、これから大切に長く販売していきたい商品。スリービーポッターズの定番としてキッチン・テーブルウェアをテーマに選んだ30種類の商品について、ディレクターの石井に商品との出会いやエピソードとともに、その道具の魅力について聞きました。
コーヒーメーカー
CHEMEX
アメリカの科学者が開発したという、まるで実験をしているようなワクワクした気持ちになれるコーヒーメーカー。約40年前、友人がアメリカで購入し、プレゼントしてくれたのがケメックスとの出会いでした。初めて見たときはそのデザインに惹かれましたが、折りたたんで使うという専用のフィルターにも興味津々。それから大切に使っていたところ日本に輸入されるようになり、取り扱いを始めました。変わらないデザインが良さですが、実は本国では少しずつサイズ感が変わったりしているそうで、コレクターの方もいらっしゃるほど。世界中で愛されているコーヒーメーカーです。
Form1382 ティーポット
Arzberg
バウハウスデザインの流れを汲み、実用性を重んじるアルツベルグ。無駄のない美しいデザインと、毎日使いたくなる心地よさを兼ね備えた、まさに究極の白生地のポットです。厚み、注ぎ具合、使用後の洗い心地——全てにストレスがなく、気がつけば毎日使っています。一時期取引をしていた輸入代理店がやめてしまい、日本国内で品薄になったことがありました。当時はインターネットなどが普及していない時代でしたが、全国からファンの方がアルツベルグを求めていらしたのが印象的でした。当店でも完売し、その後ドイツに旅行に行った時、通りかかったお店に並んでいるのを見て、今も作り続けられていることを知り、取り扱いを再開しました。日本での流通が少なく、情報もほとんどないため仕入れを続けるのはとても大変ですが、だからこそお客様に魅力が伝わった時の喜びはひとしおです。
プレート
Arzberg
一口にお皿といっても、素材、形、色、数えきれないほどの種類があります。真っ白な陶器のお皿もたくさん。このアルツベルグのプレートも、シンプルなデザインですが、リムの大きさや厚み、角度などが絶妙で、料理をキリッと引き立ててくれます。
カトラリー
KAY BOJESEN DENMARK
まさにシンプルイズベスト。ベーシックな美しいデザインで、数あるカトラリーの中でもとりわけ使い心地が良いのがカイボイスン。和食器、洋食器、どちらにもフィットしてくれます。小石原ポタリーに合わせても素敵ですよ。デンマークだけでなく世界中で愛されているカトラリーですが、金属加工業で知られる新潟県燕市で作られているというのも嬉しいです。
ミキシングボウル
MASON CASH
100年以上変わらない、イギリスの伝統的なスタイルのミキシングボウル。パン生地をこねたり、器として使用したり、様々な使い方ができます。来客時には、いろいろな野菜やハーブをこのボウルで和えて、そのままテーブルに。口の広さや深さ、安定感が絶妙です。イギリスの貴族とその使用人たちが織りなすストーリーを描いた海外ドラマ「ダウントン・アビー」でも、キッチンのシーンで度々登場しているんですよ。メイソンキャッシュのミキシングボウルが映るたび、こうして使われ続ける道具の良さに感動しています。
ペティナイフ
GLOBAL
初めて知ったのはスリービーポッターズが浄水通りにあった頃。当時、刃と柄が一体型の包丁は珍しく、そのスタイリッシュなデザインから海外製のものかと思いきや、なんと日本製。海外のプロ向けに輸出されていたものでした。大変評判が良く、ぜひお客様にも紹介したいと思い、取り扱いをスタートしました。その後、機会がありGLOBALを生産する吉田金属を尋ねました。数多くの工程があり、たくさんの人の手間がかかっていることに驚き、良い商品を作り、送り出すとはこういうことなのだと改めて感動しました。世界に誇れる日本の道具です。
ひのきまな板
everyday
スリービーポッターズを運営するウィークスのオリジナルブランドeverydayのまな板。油脂分が豊富で抗菌・抗カビ効果が高い「四万十ひのき」の製品を作るメーカー「土佐龍」に生産をお願いしています。こちらのメーカーとはスリービーポッターズをオープンする前、陶器メーカーに勤めていた頃からのお付き合い。当時私たちは、アメリカの市場に日本の伝統的な素材・工業の良さを広めようという取り組みをしていました。そんな土佐龍が作るまな板は素材も作りも、とても品質が高い商品。そこからさらにサイズ感や使い勝手を見つめ直し、オリジナル商品として作ったのがこのまな板です。キッチンの強い相棒です。
そばざる
公長齋小菅
伝統を受け継ぎながら、現代の生活に合う竹工芸の数々を伝えてくれる公長齋小菅。竹が持つ素材の魅力、確かな技術力、繊細な美しさを揃えたこの蕎麦ざるは、自宅の蕎麦をお店のように演出してくれます。我が家の年越し蕎麦はいつもこのざるです。
箸
公長齋小菅
飾らず粋で、さりげなく品の良いうるし箸。軽くて持ちやすく、細い箸先で口当たりが優しいのが特徴です。上質なお箸は、より食事が美味しく感じる気がします。来客の際にもおもてなしの心が伝わります。
とうふすくい
金網つじ
お鍋の日にはいつもこの「とうふすくい」。豆腐をすくうための道具です。テーブルに置いておくだけでも美しく、また専用の道具を使う楽しさを体感させてくれます。金網つじは京都の伝統工芸・京金網の技術を使い、とうふすくいなど伝統的な商品から、コーヒードリッパーやランプシェードなどこれまでにない京金網の商品まで、暮らしに寄り添う道具を次々と生み出しています。日々進化しながら今の時代に受け継がれていく伝統工芸の良さを、当店でも大切に伝えていければと思っています。
弁当箱
柴田徳商店
筥崎八幡宮の奉納品として知られる伝統工芸品「博多曲げ物」。全国に曲げ物を作っているところはありますが、九州の文化やいいものを紹介することも私たちの大きな喜びのひとつです。曲げ物の中で一番生活に取り入れやすいのはお弁当箱ではないでしょうか。ご飯が冷めても固くなりにくく、ほんのりとした木の香りがご飯をおいしく引き立ててくれます。お弁当箱以外には、寿司桶もおすすめ。ちらし寿司や手巻きずしなど、酢飯を作る時にはやっぱり寿司桶がおいしく出来上がり、そのまま食卓に出せば気分が盛り上がります。曲げ物が特別なものではなく、普段から楽しむ道具になっていけばと思います。
タンブラー S
everyday
深さや口の広さ、サイズ感が絶妙で、コーヒーやヨーグルト、ちょっとしたおかずを入れたり、蕎麦猪口にしたり、オールマイティーに使える波佐見焼の器です。長崎県波佐見町で作られる波佐見焼は400年以上の歴史があります。「型屋」「生地屋」「窯元」など、分業制により高品質・大量生産を可能に。それまで高価なものであった磁器を庶民に広め、食文化の発展に大きな影響を与えた歴史があります。このタンブラーは、そんな波佐見焼の白磁の美しさや、普段使いのしやすさなどが表現されているように思います。クセがなくシンプルなので空間の邪魔をせず、その人の使い方に染まってくれる器です。ご家庭はもちろん、オフィスでの使用もおすすめですよ。
鉄瓶
OIGEN
普通のヤカンと鉄瓶、それぞれのお湯で入れたお茶を飲んだ時に、味の違いに驚きました。改めて、鉄瓶の良さを実感。鉄瓶といえば白湯のイメージもありますが、美味しいお茶やコーヒー、紅茶にこだわっている人にこそお勧めしたいのが鉄瓶です。
ビビンバ鍋
スリービーポッターズが浄水通りにあった頃。よく韓国から商品を仕入れに来て、ハンドキャリーで持ち帰るかた方がいらっしゃいました。あるとき、何か韓国の道具を紹介していただけないかとお願いしてみました。その次いらした時に持ってきてくださったのが、石焼きビビンバ鍋セットです。ごま油・ご飯・お肉・ナムルがパチパチと焼ける音を聞きながら、卵を落として余熱で火を通し、カンカンに熱い鍋をヤットコで運ぶ時、気持ちはプロの料理人。家族でテーブルを囲みながら、アツアツをかき混ぜて食べる楽しみは格別です。
ピーラー
ritter
世界中で支持されているドイツ・ritter社のピーラー。まさに王道なデザインです。ピーラーには縦型などもありますが「これでいい」と思わせてくれるシンプルさ。さらに、買いやすい価格も魅力のひとつです。
レモンスクイーザー
ARCOROC
永遠に変わることのない定番のデザイン。レモン絞りにも様々な素材やデザインがありますが、シンプルな良さを感じるロングセラーアイテムです。安定した形で力を入れやすく、受け皿付近の突起が種を受け止めてくれるので、絞り汁だけを注ぐことができます。シンプルながら機能的で、たたずまいも可愛いです。
エッグスライサー
卵がきれいにスライスできる道具。包丁ではこのようにきれいに切るのは難しいですが、この道具があれば簡単。卵をスライスする道具として、究極のデザインではないでしょうか。いつの時代にも寄り添う手放せない定番です。
ハンディエイド
真空のジャムの瓶のフタは本当に開かないものです。そんなとき、大きな道具を出すこともなく気軽に力を貸してもらえるのがこのハンディエイド。パッケージが可愛いのもポイントです。当店で販売している「M’sキッチン」のジャムも真空保存が完璧で。開かない時はぜひこのハンディエイドを!
ブラシ
REDECKER
ドイツ生まれの天然素材のブラシの数々。実用性とデザイン性を兼ね備え、使うほどに愛着が湧くブラシです。フライパンや鍋、ボトルなど、用途に応じて使いやすいようにデザインや素材が工夫された、頼れる相棒たちです。
注ぎ口洗い
MARNA
急須、醤油さし、子どものストロー付きマグ…これじゃないと洗えないものがたくさん。口に入れるものは、常に清潔にしておきたいですよね。ブラシは道具としてはもちろん、眺める物としても惹き付けられる魅力があります。色々なブラシばかりが載った本もあるほど。一家に一つの必需品です!
ホワイトシリーズ
野田琺瑯
ひと昔前は琺瑯といえばカラフルな模様が入った調理器具が一般的。スリービーポッターズでも、違うメーカーの無地の琺瑯製品を取り扱いしていました。しかし琺瑯産業が衰退。メーカーが減っていく中、真っ白な保存容器という画期的な商品を生み出し琺瑯ブームを作り出したのが野田琺瑯です。琺瑯生産の工程全てを一貫して自社で行うメーカーは少なく、大量生産が難しいそう。当店も、その頃は量産ができないという理由で取り扱いを始めることができませんでした。何度もお願いして、ようやく販売をさせていただけることになったんです。 琺瑯は匂いや色移りが少なく食材や材料の保存には最適。さらに野田琺瑯の製品は蓋だけの購入もでき、琺瑯部分は大切に扱えば永久的に使えます。おせち料理の時の下ごしらえにも活躍しますよ。
ジャムジャー
ARC
日本には四季があり、湿気がある時期もあれば、乾燥している時期があったりとさまざまです。必ずしも完璧な密封が必要でなく、気軽にちょっとしたものを入れておきたいときもあります。塩や砂糖、キャンディなど。そんな時にこのジャムジャーがぴったりです。蓋は使い続けていくと劣化しますが、替えの蓋のみの購入が可能なのも魅力です。蚤の市などでも見かけるフランスの伝統的なボウルのデザインや、ジャム「ボンヌママン」の瓶にも似ていて、フランスを感じるジャーです。
ガラスキャニスター
Le Parfait
こちらもフランスの保存瓶。ジャムジャーとは逆で、しっかり密封したい時に使いたいビン。コーヒー豆やドライフルーツ、ナッツを保存したり、ピクルスや果実酒、手作りの調味料やお惣菜を作って保存したりするのも楽しいですね。農業国フランスの保存が必要な気候・状況からだからこそ生まれた歴史があるのではないでしょうか。フランスらしいデザインやロゴの可愛さも素敵です。可愛さを引き立てるオレンジのゴムパーツは買い替えが可能。長く愛用したい保存瓶です。
ポレンタ
everyday
昔、スリービーポッターズでオリジナルの食器として販売していたシリーズを復刻しました。厚みや形状が使いやすく、いろいろな料理に合うカラー展開です。 復刻するにあたり、サイズ展開を見直し、日常的に使えるサイズ感と揃えやすい価格帯にこだわって作りました。これからの定番として、長く販売していきたい器です。
クラシックフライパン
turk
初めて見たのはドイツ・フランクフルトの展示会で。ずらりと並んだ様子は、さすがドイツといった迫力でした。タークのフライパンは鉄の塊を熱して何度も叩いて成形していく鍛造製法で作られています。強靭でつなぎ目がないため、適切なお手入れをすれば半永久的に使えます。鉄のフライパンならではの美味しさは、タークを使って初めて感じたもの。あえての素焼きがとても美味しいですよ!ズッキーニを素焼きして、最後にオイルと塩を振って食べたり。かぶなどもおすすめ。銀杏やゴマを煎るときにも使っています。素材の美味しさを教えてくれるフライパンです。
オーブンミット
Phoenix
数あるオーブンミットの中で、これさえあれば安心と思える丈夫さが魅力。表面にはアルミ処理シリコンコーティングが施されています。なんと-20度までいけるそう。家庭からプロまで幅広く活躍する道具です。自宅で何年も愛用しているものは、先が少し焦げていますが、まだまだ現役。なんとも素っ気ない無骨な雰囲気が素敵です。
ピコ・ココット
STAUB
材料を入れて蓋をして熱すれば美味しい料理の出来上がり。この簡単さにどれだけ助けられたことでしょう。食材からでた蒸気が蓋の裏側の突起をつたい水滴となって食材に降り注ぐ特殊な構造で、ふっくらと美味しく仕上がります。しっかりとした厚みがあるのでムラなくじっくりと熱を加えて食材の旨味を引き出してくれます。まさに道具の力。この重さには訳があるんです。
ウィーン 135
Borgonovo
ぽってりとした厚みと素朴な形状、そして何より手に収まる感じが心地よいサイズ感。イタリアのフィレンツェ地方では大昔からワイングラスとして使われている形です。仕事を終えた職人や漁師がまだ暑い昼間から、サン・マルコ寺院の隣の塔の木陰でワインを飲むのに使っていたことからombretta de vino(木陰で飲むワイン)」と呼ばれているそう。このエピソードを聞いて、ハウスワインを仕事終わりに美味しそうに飲むイタリアの人々の顔が浮かび、そんな風にワインを楽しむのもいいな、と思い取り扱いをスタートしました。グラスには色々な厚みやデザインがある中で、ステム付きの薄手のグラスで飲むワインの美味しさとは違う良さがあり気に入っています。親しい人たちが家に来た時にカジュアルにワイン(もちろんお茶やお水でも!)を楽しんでもらいたいグラスです。
小石原ポタリー
スリービーポッターズが浄水通りにあった頃、近くのお店で出会ったのが小石原焼です。特徴的な模様が新鮮で、何度もお店に足を運びました。しかしその頃は、洋食器中心の自分の生活にどこかフィットしない気がして、購入しないまま何年も過ぎました。そんな頃、小石原の窯元とフードコーディネーターの長尾智子さんで新しい小石原焼「小石原ポタリー」を開発することになり、私たちも関わらせていただくことになりました。伝統の技術と手法を残しながら微妙に形を変えていくことで、現代の食卓に合う形に。テーマである「料理をおいしくする器」になっていくことを肌で感じました。食器棚で自然と手が伸びるような、とてもいい器です。これからも長く販売していきたいです。
MENBACHI
BBB x yumiko iihoshi porcelain
今から25年ほど前、薬院にお気に入りの中華そば屋がありました。不思議と心地いい緊張感で、しばらくひとりで通う楽しみを味わっていました。店に入ると、シンプルでシックな内装としつらえ。カウンターの端に、佇まいのいいめん鉢がきれいに積み重なっていました。メニューは中華そば、支那そば、ご飯、ザーサイ、だけだった記憶。だから器も、めん鉢、小ぶりな飯碗、小皿と潔くシンプル。中華そばの美味しさは言うまでもなく、ずっと通いたいと思うお店でした。そう思っていたある日、突然閉店。その日以来ずっと、私の中であの中華そば屋とあのめん鉢が消えないまま残像となっていました…。そんな話を、ある日イイホシさんとお話しした時に、それじゃあ、いつかめん鉢作りましょう!と盛り上がりました。それから何年かの月日を経てイイホシさんとスリービーポッターズのコラボレーションで佇まいのいいめん鉢が完成しました。両手で持てるサイズ感と、持った時に熱くなりすぎないように厚みを工夫。口当たりの良さと美しさのバランスにもこだわりました。〈cresson white〉クレソン・ホワイト、〈fennel yellow〉フェンネル・イエロー、〈prusian blue〉プルシアン・ブルーの3色が食べる楽しみを彩ってくれます。中華そばはもちろん、うどんやそば、フォー、ご飯ものなど色々な麺料理に合いますよ。